GreenPill Japan Newsletter 2023年6月版
今年の4月から世界各地域でGreenPillコミュニティが発足され、同月に立ち上がったGreenPill Japanが今月からマンスリーでニュースレターを配信することになりました!各GreenPillコミュニティの活動、GreenPill Podcastの翻訳・要約、GreenPilプロジェクトの紹介、GreenPill関連のリリースや注目すべきトピックについて扱おうと考えています!
GreenPill Japan運営メンバーミートアップ開催!
5月14日に、宮下パークでGreenPill Japanミートアップを開催しました。
ここから、GreenPillムーブメントを日本に拡大していきます!
GreenPillリソース集公開
【翻訳・要約】GreenPill Podcast
先月のGreenPillニュース
■ Gitcoin Grantを実施
新しい分散型Gitcoin Grants Stack上で実行されるGitcoin Grants Quadratic Fundingの2回目のテストラウンドとして、4月25日から5月9日に行われました。コアラウンドは、Ethereum Infrastructure、Web3 Community & Education、Web3 Open Source Software、ZK Tech、DEI (Bonus Round)の5つのテーマで行われました。また、並行して、Gitcoinの使命に沿った外部パートナーのラウンドであるFeatured Roundsも行われました。
(関連)supermodularによるGitcoin Beta Roundの視覚化ツール
円の大きさが貢献の大きさを示しています。QFラウンド内の挙動をより直感的に理解できるようにすることと、共謀を検出するより良い方法を探求しています。
Gitcoin Citizens Roundは、特に幅広いエコシステムやコミュニティと関わることでGitcoinの成功に貢献した人々やプロジェクトに対して報酬を与えることを目的としています。
GreenPill Globalを始めとする、GreenPillムーブメントの拡大に貢献するプロジェクトのためのラウンドを実施中です。
■ Gitcoin x Hypercerts
Hypercertsとは、自分のプロジェクトのインパクト証明書を作成し、その一部を資金提供者に与えることで資金調達を可能にするプロトコルです。Gitcoin Grants Beta RoundのコアラウンドのプロジェクトはHypercertsを作成することができ、そのプロジェクトに1ドル以上寄付した人がclaimすることができます。
■ EIP-6968: Generalized CSR Protocol
EIP-6968は、CSR(開発者がオンチェーンにデプロイしたコードを他の人が操作するたびに収益を得ることができる一連のスマートコントラクト)を実装するためにネットワークが参照できる一般化されたプロトコルです。EIP-1559を改良したもので、一過性の輻輳(大量のトランザクションが発生している状態)管理のメリットを維持しつつ、コントラクト作成者が所定のブロック内でコントラクトにより消費されたガス代の一部を受け取ることができる新しい経済メカニズムを提供します。
■ Introducing Sustainable Public Goods Funding to Livepeer Through A Community Treasury
Livepeerトレジャリーを導入し、Livepeerトークンを用いてエコシステムの貢献者に遡及的に報酬を与えるためのメカニズムを導入するという内容のプロポーザルが提出されました。プロトコルに持続可能な公共財の資金調達メカニズムを導入することで、Livepeerエコシステムのさらなる分散化を試みています。
■ You can now support Pairwise on Giveth
Giveth上でPairwiseを支援できるようになりました。Pairwiseとは、フォーラムを読むのに多くの時間を費やさなければならない従来のUXとは異なる、2018年のColonyの研究に基づいたより直感的なオンチェーン投票を可能にするdappで、General Magicによって構築されました。
■ After Hyperindividualism
Gitcoinの共同創設者であるScott Moore氏のインタビュー記事です。Gitcoinでの取り組みや資金再分配のメカニズム、クリプトの政治性、集合知の活用、また最近立ち上げた新しいファンド「Public Works」について話されています。Scott氏は、クリプトが、個人主義からの脱却、コミュニティとのつながりの再確立、そして新しい社会制度の構築に対する重要なツールになると考えています。
■ イーサリアムを「公共財」と捉え、守るために【オピニオン】CoinDesk Japan
ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンのビジネススクールの助教であるPaul J. Ennis氏と、Gitcoinの共同創設者であるScott Moore氏による記事です。イーサリアムを公共財と捉え、コモンズとして管理し、degenとregenが協調することの必要性を述べています。
■ RetroPGF2: Learnings & Reflections
Optimismは、Retroactive Public Goods Funding (RetroPGF) 第2ラウンドで、Optimism Collective全体の公共財のクリエイター約200名をサポートしました。この記事では、第2ラウンドの結果の分析と学んだこと、Optimismのエコシステムを成長させるためにRetroPGFの実験を続ける方法について書かれています。
■ Idea for Grants DAO
Llamaの共同創設者であるShreyas Hariharan氏は、Grants DAOのアイディアとして、以下のモデルを考案しました。
8人のメンバーからなるGrants DAOを立ち上げる
新しいgrantsが発生するたびに、新しいGrantを承認する権限を持つgranteeが追加される。
2万ドル以下のgrantsでは1名の承認、2万~10万ドルのgrantsでは20%の承認、10万ドル以上のgrantsではトークンホルダーの承認を必要とする。
■ Meso Money: What Can ReFi Learn from CoFi?
Crypto Commons AssociationとInformalの主催で、Collaborative Finance (CoFi) のイベントが、オーストリアのCommons Hubで開催されました。CoFiとは、支払いグラフの実際の構造に基づいたお金と金融へのアプローチです。CoFiプロジェクトは、義務のネットワークの構造と健全性について理解を深めること、そして、商業経済とそれを支える流動性との関係をより健全なものにするためのツールを構築することを目指します。
■ GreenPill v2 is here
GreenPill v2が発表されました。GreenPill v1では、本を通じて理論を示してきましたが、v2では、ローカルでの活動に焦点を当て、ネットワークの拡大を目指していきます。ブランドデザインも有機的なデザインに一新され、webサイトもアップデートされました。
コラム:公共財へ資金提供を促進する「Gitcoin」
ここでは、GreenPill関連のプロジェクトやトピックをピックアップしていきたいと思います。
初回は、Gitcoinについて扱いたいと思います。Gitcoinは、コミュニティが自分たちにとって重要なものを構築したり、それに資金提供したりすることを可能にするためのツールを開発しているプロジェクトであり、2017年にKevin Owocki氏とScott Moore氏らによって立ち上げられました。また、2021年5月にはGTCトークンがリリースされ、GitcoinDAOが立ち上がっています。
そして、Gitcoinが開発しているツールやプロジェクトは主に3つあります。
1つは、Gitcoin Grants Programです。このプログラムは、オープンソースソフトウェアを始めとした様々なプロトコルやコミュニティに対して、資金を提供するというプログラムになります。2019年2月に初めてのGrantラウンドが開始されて、現在に至るまでおよそ20回のラウンドが実施されました。これらのラウンドを通して、合計5000万ドル以上の資金がプロジェクトに提供され、直近でもGitcoin Beta RoundやGitcoin Citizens Roundといったラウンドが実施されており、オープンソースソフトウェアを開発する上で欠かせないプログラムと言えるでしょう。
このGrants Programでは、Quadratic Funding(クアドラティック・ファンディング。以下、QF。)という慈善資金を民主的に配分するメカニズムを採用しており、GitcoinはQFのメカニズムを実装した著名なユースケースの一つとなります。QFはVitalik Buterin氏、Zoe Hitzig氏、Glen Weyl氏らによって提案されたアイデアであり、「プロジェクトが受け取る資金の額は、受け取った寄付の平方根の合計の2乗に比例する」という資金配分のメカニズムです。この説明だと、直感的に分かりにくいと思うので、QFの説明は別の機会で扱うかもしれません。ここでは、プロジェクトへの寄付額よりも寄付数を重んじる発想(少額だったとしても多くの支持者がいればプロジェクトは多くの資金を受け取ることができる)であり、公共財への資金提供に適しているメカニズムであるとされていると理解してもらえたら良いです。
2つ目は、Grants Stackです。従来の集権化したグラントプラットフォーム(cGrants)を縮小して、cGrantsから新しく移行していくものとして開発されたものです。このツールはAlloプロトコルという資金調達のインフラストラクチャーとして機能するオープンソースの分散型モジュール式プロトコル(スマートコントラクト)で構築されており、コミュニティがより自己主権的な方法で共通のニーズに資金提供できることを目的として開発されました(現在アルファラウンド、ベータラウンドにてテストを重ねています)。つまり、Grants Stackは、より柔軟でカスタマイズ可能な形でパーミンションレスにグラントプログラムを立ち上げることができるため、従来よりもよりボトムアップな仕様になったと言えるでしょう。
そして、3つ目は、Gitcoin Passportです。Gitcoin Passportは、本人確認アプリケーションであり、様々な認証システムからスタンプ(verifiable credential:検証可能な証明書)を収集することで認証情報のアグリゲーターとして機能します。つまり、このパスポートは特定のアプリケーションに依らない仕組みであり、人間であることの証明(Personhood Proof)と多元性(Plurality)にとって利点のあるツールを目指しています。また、Gitcoin PassportはCeramicで構築されているため、Passportのデータはコンポーザブルで相互運用可能なものになります。
このツールの用途としては、Gitcoin Grantsにおけるシビル耐性をもたらすことです。QFを用いているGitcoin Grantsでは、寄付額よりも寄付数を重視する考え方であるため、一人の人間が複数のアカウントを作成することでネットワークを支配しようとするシビル攻撃の懸念があります。Gitcoin Passportは、様々な認証情報を統合することで本人であることを確認しているので、シビル攻撃に対する耐性をもたらそうとしています。
以上の3つがGitcoinの中心のプロジェクトですが、Gitcoin Grantsのインデックストークン「gtcETH」、Coinbaseが堅実なクリプト政策に向けた運動のために始めたNFTプロジェクト「Stand with Crypto」、ハッカソンで生まれたAaveを活用したプロジェクト「FundPG」といったGitcoinやGitcoinをサポートするようなプロジェクトも度々散見され、GitcoinとGitcoinを中心としたエコシステムは、公共財への資金提供を行うためのインフラストラクチャーとして重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
GreenPill/GreenPill Japanの最新情報を得たい方は、以下をチェックしてください!